鷲巣麻雀と称した血液を賭けた、否、命を賭けた麻雀を考案した鷲巣様はこの短期間に何人もの若者の命を奪った。 鷲巣様はきっと、己の死を恐れ近々何かとんでもないことを仕出かすのではと思っていたが、まさかここまでとはと思いながら雨の山奥で白服の同朋が死体を埋めている様子を見守っていた。

屋敷に戻れば鷲巣様は少し落ち着かない様子でワインを飲んでいた。
すると突如荒々しく私の名前を呼び、私は直ぐに鷲巣様の横に控えるが勢いよくワインを胸元にかけられてしまった。

「遅い!どれだけ処理にかかっておるのだ」
「申し訳ございません」

真っ白だったカッターシャツは赤ワインで真っ赤に染まっていく。
鷲巣様はまだお怒りが収まらないのか、少し離れた場所にある麻雀卓にあった牌を思いきり私に投げつけた。

「許せん!お前すら許せぬ、お前も、あの死んだ若造も!」

牌の一つが私の目の上を掠め、血が一筋頬を横切った。
何事かと部屋に入った白服が、驚きはしたもののまたかという表情で鷲巣様を止めようとするがそれを私が制する。

「誰がこの部屋に入ってよいと言った・・・出て行け」

目線を落としたまま鷲巣様がそう言えば、直ぐに白服たちは部屋を出て行った。

「座れ」

それを聞いた私はソファに腰掛ける。鷲巣様は私の目の前に立ち、胸にあったスカーフで少し乱暴に私の目元を拭った。

「お前は何故生きる」
「鷲巣様が生き続ける限り、私も生き続けます」

私の言葉を聞いた鷲巣様は徐に私の上着を脱がし、先ほど赤く染まったシャツのボタンを外した。
一つ一つボタンが外れ、露わになる肌には痣や生傷が酷く残っている。
その傷一つ一つを愛おしそうに撫でる鷲巣様は私の目を見て続けた。

「こんな事をされてもお前は儂と共にありたいか」
「はい、私は鷲巣様のものです」

それを聞いた彼は少し乱暴に私の頭を撫で、寝る言い寝室へ向かった。

「10分だ」

途中で立ち止まり、背を向けたまま私に言う。



「その汚い身体を洗って直ぐに儂の寝室に来い」
「・・・畏まりました」




















愛が致死量
今日のような激しい雨の日の夜、路頭に迷った私に手を差し伸べてくれた日から、私はあなたと共にあります。
























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