★オリジナル設定有







学校生活を送るにあたり一番厄介なことがある。
男女一組のペアを作れだの、グループを作れだの。正直俺はこれが一番苦手だ。
毎度毎度自ら進んで動かない俺をクラスの奴らもいい加減うんざりしていると思ったが、一人変わった奴がいた。

「工藤、私と組もう!」

必ずと言っていい程、このという女子は俺に声をかけてくる。
始めは驚いた、どうせ一度きりだろうと思っていたが、毎回、毎回彼女は俺に声をかけてきた。
体育祭の二人三脚リレーも、何故か「組もう!」と言われ無理矢理参加することになったが、結果彼女の運動神経もよかった為学年一位の結果を残した時。

「工藤運動神経いいから、足引っ張らないよう頑張ったけどよかったー!」

眩しい笑顔で彼女はそう言う。

「いや・・・お前も十分足早いと・・・思う」
「え・・・?あ、いや、ありがとう」

一位のメダルをに渡せば、彼女は珍しく目を泳がせてそれを受け取った。
・・・それから、は弁当を一緒に食べようだとか、頻繁に誘ってくるようになった。でも、不思議と彼女を煩いだとか面倒だと思った事はなかった。気配り上手と言えばいいのか、彼女は本当にいい奴だった。一人になりたい時は声をかけてこないし、本当にしっかりしたやつだと思っていた。いつの間にか、俺自身もといる時間を心地よく感じていた。

友達ってこういう事を言うのか、なんて思えば気恥ずかしいがあながち否めない。

「工藤、一緒に帰ろう」

体育祭が終わって、季節が冬にさしかかったある日のこと。
マフラーを巻いたが俺の横をちょこちょことついて来ている。特に話もしない時もあれば、もうすぐテストだね、なんて他愛もない話をする時もあったが、今日のは無口だった。

「じゃあ、また明日」

いつも別れる交差点で、俺がそう言うとは突然俺の学ランの裾を引っ張って引き留める。

「あのさ、工藤って、・・・好きな人、いるかな」
「・・・?いや、いないけど」

突然すぎる質問に少し驚いたが、そう返すと、彼女は大きな目をまっすぐ俺に向けてこう言った。


「工藤、私工藤が好き」


不思議だった。
クラスでも人気者で、何度も校内で男に告白されているのを見かけていたし、は太陽みたいなやつだったから、そもそも俺なんかが近くにいていいのかと。早い話が、少し尊敬していた。そんな彼女が、俺を好きだと言う。

わからなかった。

俺なんかがと一緒になっていいのか。
俺といるせいで、が変な目で見られてしまうんじゃないか。
突如たくさんの不安要素が俺を襲い、気づいたら俺は彼女の裾を持つ手を払って


「ごめん」


そう、言っていた。











それからは俺に声をかけてくることはなくなった。
俺から声をかけることなんてできないし、かけてどうするんだ、どうしたいんだと思えば思うほど自分が非力で無力であると落胆する。そしてなにより、俺はあいつと一緒にいるのが楽しかったし、心地よかったんだと、失って痛感した。あの日あいつの気持ちに答えることができなかったのも、 自信がなかったからだ。俺はあいつを楽しませることができるのか。でも、そうじゃない。やっぱり、俺はあいつの傍にいたい。孤立を望む俺に差し込んだ光。それが

・・・ちゃんと伝えないといけない。

授業が終わり、足早に教室を出るを見て、急いで荷物をしまって追いかける。下駄箱で靴を履きかえ、、と呼ぼうとした瞬間、同じく下校しようとしていた全く知らない女子の言葉が、ナイフの様に俺に突き刺さったんだ。






「聞いた?さんって、あの宇海くんと付き合ってるんだって」




















かみさまかみさまかみさま、
窒息しそうだ どうして俺はあの時言えなかったんだろう 俺もすきだって

























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