ここまでするのか。

予想はしていたが予想を超えていたと言ってもいい。
帝愛グループの地下の強制労働の中に、ある一定の人間しか知らされない世界がそこにはあった。
一日外出券に匹敵する金額を支払えば、女を抱けるというのだ。慰めの部屋と呼ばれるその前で、俺は茫然と立ち尽くした。

目隠しをされ猿轡をされ両手を縛られされるがまま弄ばれる女に、酷く見覚えがあったのだ。

・・・」

俺が地上に居た頃愛していた女だった。
彼女は抗いもせず、ただただされるがまま、男の玩具になっていた。
行為を済ませた何も知らない男が満足そうに部屋を出ると、なんだお前もかと言わんばかりの顔で俺の横を通り過ぎた。

ある程度の資金が溜まった頃合いに、この場所に来るよう黒服に告げられた。強制労働の中で諦めを見せない俺に対しての制裁か。それでもこれはあり得ないだろう。 何故ならば彼女は、確かに俺の恋人だが、俺の罪とは無関係だ。と、いろんな考えがぐるぐる巡る。そして一歩、一歩扉へ近づき、部屋へ入る。

力なく横たわる彼女は雄の臭いでいっぱいだった。
一歩一歩近づけば、彼女は音に気づくがぴくりとも動かなかった。

そんな彼女の横に膝をつく。
乱暴もされたのだろう、体のあちこちに痣があった。
その痣を撫で、頬に触れると彼女は不思議そうにしていた。

ふと、彼女に首に両手を添えた。
いっそ、ここで殺してしまおうか、俺の手で。

少し手に力を込めるが、彼女は抗いすらしない、むしろ、死を受け入れようとしていた。
そんな姿にぼろぼろと涙が流れ、すぐに力を緩めるとゴホゴホと彼女は咳をした。

苦しいだろう、と猿轡をずらしてやると少しして落ち着いた様子を見せた。
そんな彼女を一度ぎゅっと抱きしめ、両頬に手を添えた。


ごめん。ごめん。ごめん。と何度も心の中で叫び、覚悟を決めた。


















目隠しをしたままで
必ず迎えにくるから、もう少し待っててくれと言い、くちづけをした

























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