★オリジナル設定有
禁忌であるとは分かっていたけど、それでも私は兄が好きだった。
兄として好きから恋に変わったのはいつからかは覚えてない。気づいたらもう好きだった。サラサラの髪も、綺麗な指も、声も、たまに悪っぽいとこも、でもとっても優しいとこも。
初夜は両親が結婚記念日に泊まりの旅行に行った中学の時。
互いに夢中で貪った。キスして、抱き着いて、兄は何度も私にキスマークをつけた。もうお前は俺のものだ、どこにも行くな。と耳元で囁いたのは今でも鮮明に覚えている。
高校も当然同じ高校へ進学した。
兄は、必ず授業が終わると教室まで迎えに来てくれる。容姿端麗な兄はいつもクラスの女子に人気で、ちゃんのお兄ちゃんって超イケメンだよね!なんてよく言われ私自身も鼻が高かった。兄にそう言えば「そんな兄貴とこうやってセックスしてるなんて考えもしないだろうな」なんて言って笑ってキスをしてくれた。
私は幸せだった。
両親の目を盗んで育む事にも慣れていたから、本当に幸せだった。ずっとずっとこのまま兄と、聖也と一緒に居たいと心からそう思っていたのに。
ぐにゃりと背骨が歪んだ事だけ覚えてる。
そこからは正直覚えてない。ふわりと身体が遠くに飛んで、そのまま風に、空気になったような気分だった。
もう無理だと言う医者の声も、必死に両親に連絡をしている看護婦の声も届かない。ただ、横で手をぎゅっと握って大きな瞳からぼろぼろと泣いている兄を見るのがとても辛かった。
「嫌だ、いやだ、いやだ、、、いやだ」
いつもの俺様な兄ではなく、初めて見る弱い兄だった。
「聖也、なかないで」
「いやだ、俺、お前が居なきゃ」
「最初から、だめだったんだよ、だから、しょうがないんだよ」
もう聖也の顔も見えないや。
「、、俺が高校出て就職したら一緒に家出て暮らそう、人目なんて関係ない、二人で一緒に」
いいなあそれ・・・幸せそう。
「なあ、いいだろ?ずっと一緒に」
「聖也」
ああ、幸せな日々でした とても とても。
毎日毎日、私のお墓の前で涙も流さず立ち尽くす兄。
手を伸ばしても触れることができない兄。
報われない気持ちを整理して、これでよかったんだって言いたいのに。
にじんだ世界はどこまでも綺麗で
ここに君がいればもっと綺麗なのに なんて思うのはよくないね。
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